氣は利かせるものとはいいながら

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もう数年前の話である。

地元では大きな部類の店舗で、お中元とお歳暮シーズンのデータ入力の短期アルバイトを数年していた。特設の催事会場で仕事をする。主な仕事は、一般のお客様の注文データを入力するのだが、そのほかに外商営業担当から、お得意様から依頼される、大量受注のあて先リストが回ってくる。単純に入力するだけで済めばいいのだが、そのデータの原稿と言うのが、「ひどい」有様だった。郵便番号の抜け、住所の間違い、電話は市外局番の抜け、達筆すぎ(?)て読めない文字などなど。データ入力の間違いを誘っているような危険なシロモノである。お得意様のデータだから間違えると大変なので、そのつど、電話帳で住所を確認したり、意味不明な商品名は営業担当に付箋をつけて確認しつつ、作業は進む。

年を経るごとに、店の営業状態が悪くなるに従って、業務用の付箋も支給されなくなった。

付箋がなくては仕事にならないので自費で買って仕事したが、そのうち販売担当の社員が買ってきてくれるようになった。

外商部の営業担当から回ってくる書類は、本当に書類の体をなしていない。これが東京に本社がある会社なのか?と何度思ったことだろう。データ入力する人間のことはもちろん、考えていないだろう。データ入力するバイトのことは考えていなくても、まぁいい。同じ会社の人間だから。でも注文してくれるお客様のことを思えば、もうちょっときちんとした書類をまわそう、とか思わないか。

仕事に対する姿勢がそこから透けて見えるようだった。

営業不振でお中元シーズン後、閉店が決まった年もバイトをした。

私は思った。閉店を顧客が惜しむのであれば、最後は大忙しだろう。

そうでなければ…。

はたして、結果は後者であった。「お歳暮の時、閉店しているなら、話にならない」と多くの顧客がお中元の注文もしなかったとか。

そのため、私の稼動期間は例年の半分以下だった。

催事の時、使用するお客様の椅子はパイプ椅子。

裏手にあるのは、壊れかけたコピー機。

そのお店の開店当時もバイトをしたことがある私には、そのお店のエネルギーがどんどん下がっているのが、わかった。

社員の勤務態度も開店当時とはまったく違っていた。

それは、仕事で手にする書類の内容からもうかがい知れた。

いったい、どこでこんなになってしまったのだろうか。

今も、仕事で多くの会社の提出書類を見る機会があるが、たかが書類の提出であるが、そこには、書類=仕事に対する姿勢が透けて見えるような氣がする。

再提出の書類が相手にわかるように付箋で明記して添えてくれる人、ただ再提出の書類を置いていく人。

書類を読む第三者のことを考えているか、いないのか。書類のむこうに相手を見ているのか、いないのか。細かいことだろうが、この年齢になって、書類一枚にどれだけ、氣を利かせられるか。些細なことだが、これが案外、仕事の姿勢が透けて見える気がする。

書類一枚の中に仕事がデキル人、デキナイ人、仕事を愛しているのか、いないのか…がわかってしまう。それは手相を見ることに似ているなとも思った。

 

ren

手相見歴30年以上、同じく天然石愛好家です。

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