先日、帰宅途中にちょっと目つきの怪しい男性とすれ違いそうになった。妄想力のたくましい私、昨今のニュースを見ていて「いきなり殴られたらどうしよう」と目線を合わせないように、そらしたのであるが。
はたして、彼は私の頭上を見て、ひどく驚いた(あるいは怯えた)表情となり、私の横を駆け去って行ったのだ。驚いた私は、すぐに振り返ったのだが…広い道路のどこにも、男の姿はなかった。
そういや、彼の顔色、悪かったな。そういや奇抜な配色のジャージ着ていたよな…。ま、昼間でも見える存在もあるしということで。
さて、この数日前、自宅でテレビを見ていたところ、壁に貼っていたポスターのテープが外れていたのに気がついた。
テープは数枚、空間に垂れていたのだが、その一部が激しく揺れていた。とっさに私は地震が来たのかと身構えたのだが、周りのテープは揺れず、一つのテープだけが左右に激しく揺れている。風もないのに。不思議なものだと思っていた。
日を違えずに、母が、台所に吊るしているカーテンが、風もないのに揺れるので不思議だった、と語る。猫たちも寝ているし、他の部分が揺れても良いのに、まるで誰かが触れているかのように一部だけが動いたので、氣になってずっと見ていたとか。
お彼岸も近いので、亡父が帰宅しているのかもしれないと話して終わった。注意深く見ていると、物理的な動きが違うと言うか、心のどこかで違うと思えるような動きをしている存在がある。これは気がつくかつかないかという感じ。猫が変な鳴き方をするとか、耳元で変な音がするとか、「あなた病気では?」と言われることを恐れずに記しておくが、世の中は案外、不思議なことがあるものだ。
先日、お会いした依頼主から、「未来を見る人はたいてい左目の視力があまりないんだそうです」と聞いた。
私は明確に未来を見る人間ではないが、左目は弱視だ。若い時は右目より左目のほうの視力が良かったのだが…。いつからか左目は視力矯正ができない弱視と診断されたのは、手相見を始めた頃だったかな。
不思議な話といえば、過去に一度だけ立ち寄った喫茶店のコーヒーは夢のように美味しかった。
いつでも飲めると思っていたが、そのうち、喫茶店は閉店してしまった。それから、あの心のそこから美味しいと思ったコーヒーの味にめぐり合えないままだ。
いつでも、なんてこの世には存在しない。今しかないものがある。